ブルベも始めました

2016年からブルベも始めました。

SR600四国山脈 DNF

SR600紀伊山地はランドヌール部門で完走できたが,四国山脈は簡単にはいかないだろうと思っていた。そもそも累積獲得標高15000m弱なので,単純にVAM500mが要求される。さらに石鎚山の関門時間に合わせてスタートしなければならない。PC2の手前にある道の駅美川を過ぎるとPC3の姫鶴荘まで補給できない。悪路で悪名高い京柱峠,夜は獣道と化す県道304号と日のあるうちに通過したい徳島県と時間の制約が厳しい。

7時の関門に合わせるなら午前4時頃にスタートすればいいのだが前泊が必要。自宅から余裕を持って西条市に出発することを考えて午前9時40分スタートにした。これだと道の駅美川の食堂や姫鶴荘は閉まっているので,開いているのは土小屋の食堂のみ。そこを逃すと補給できるのは195km先の仁淀川町のローソンまでない。デイパックに食料詰め込んで走ることにする。

ウェアは紀州山地からジャージがAR四国ジャージに変更。裏起毛じゃなくて3シーズンジャージになったので,アンダーウェアをジオラインの中厚に変更したのと薄手のウールシャツ追加。

伊予西条駅に着いて輪行解除。ボトルに麦茶と水を入れて出発待ちをしていると,たこぼうずさんが応援に来てくれた。アミノバイタル(しかも1本は金)とプロテインに靴用カイロの差し入れをいただく。たこぼうずさんはR熊本のがまだすウィーク  に行かれるそうで,お互い健闘を祈って出発。

先週は下った寒風山トンネルからの道を今日は登っていく。下りだとあっという間なのに登りだとなかなか進まない。この登りは去年の四国600kmと四国1000kmのコースなのできつい思い出しかない。どちらも夜だったので今回は陽の光の下で走れることだけがプラス。旧寒風山トンネルへの分岐に入って,くねくねと引きずり回される感覚で走らされる。気温が高くないので水分消費が少なくて助かるが,遠くに見える山頂が雪か霧氷かで白い。標高1700mだと10度位下がるので気温は一桁だと予想していたが,ひょっとすると零度前後かもしれない。分岐から10km以上走らされてやっと旧寒風山トンネルにたどりつく。瓶ヶ森林道への駐車場は車で一杯。対向車との離合で待たされること度々。登っていくにつれて気温は下がっていき風が刺すように痛い。UFOラインの撮影ポイントで撮影した後でジャケットを着込んで,グラブを指付きにして,靴にカイロを入れる。しかしタイツが薄くて上半身の腕と胴だけが防寒できていて,下半身や手足は痛いくらい。アップダウンのリズムがつくれず,下りでも登りでもスピードがのらずダラダラと走ってしまう。霧氷の並木道を抜けてPC1の石鎚山系鳥瞰図を撮影。気温0.1度,道理でグラブやタイツが役に立たないはずだ。その後も下りメインだが時折挟まれる登りで苦労しながらよさこい峠を通過して,土小屋に到着。ここもGWということで観光客が多い。2階の食堂で親子丼を食べて,ボトルに水を補給しておく。

ここから美川までの下りと平坦で時間を稼ぐ必要がある。しかし,石鎚山スカイラインの3km程度の登り返しがきつくて進まない。距離看板を見ながら踏むだけ。再び下りに入って,そのままおもごふるさとの駅を通過してそのまま御三戸に下ハン持って踏む。踏むといってもその後の登りがあるので加減が難しい。御三戸に着いて道の駅美川でトイレ休憩。ここから久万高原ヒルクライムのコース。1000m登るのでおおよそ2時間で登ればいい。15kmほどなので時速8kmで十分。旧スキー場まで50分かかったので,頂上まで残り50分。頂上が近づいて開けると吹きさらしで風が痛い。だんだんと腰が痛くなってきたし,膝もあやしい。なんとか夕日が沈む中PC2の美川峰の看板を撮影。ヒルクライムのゴール地点を通過して向こう側へのダウンヒル。まだ日が残っているので,ここでも時間が稼げた。おおよそ頂上では平均15km/hを下回るが,下りで取り返している。

下りて国道440号に合流したら四国カルストまでにドリンクを補給できるところはないかと思ったら,1台だけダイドーの自販機があった。麦茶を買ってボトルに詰め替えているだけでも身体が冷えてくるのがわかる。姫鶴平への分岐に進んで登りになると,腰の痛みがきつくなってきた。膝もあやしいどころか痛くなってきた。去年の四国1000kmではハンガーノックで進まなかったが,今回は痛みで進まなくなってきた。ハンガーノック予防にスローバーやくるみ餅,一口ようかんを登りではまめに食べている。真っ暗闇でぐるぐると回され,まだかまだかとetrexの地図を表示させてはがっかりする。やっと梼原と姫鶴平への分岐にたどり着けた。あと3kmくらいのはずなのに,コーナーを抜けても抜けてもたどり着けない。腰が焼けるように痛くなってきた。そろそろ限界かも。いつになるのかと思ったら灯りが見えた。やっとPC3姫鶴平に到着。写真撮影。月もなく満天の星空。よく見ると観光客やキャンパーで賑わっている。

この先,五段城まで登ればあとは16kmの下りでPC4に行けるし,その後はしばらくはなだらかな道。50kmも走ればローソンにいける。でもその後はまた登りが始まるし,そこまでいくとDNFしても寒風山トンネルを抜けて西条市になる。いまなら松山市に戻れる。腰の痛みはいままで感じたことがないくらいだし,寒さへの備えも十分とは言い難い。ツイッターにDNFを報告して,カイロを腹と背中に貼って着た道を戻ることにした。

PC3は143km地点,累積獲得標高は4500mで11時間経過。距離で全体の23%,登りだと1/3弱。単純計算だと50時間弱。さらに2泊の睡眠と疲労蓄積のパワーダウンを考えてもいけそうなくらいの数字。あとは腰と膝の具合の問題。四国山脈用にRディレーラーをロングゲージに変えて34Tを入れれば身体への負担は減るはず。気温が暑くもなく寒くもない時期を選びたいのだが,まさかGWでここまで気温が下がるのは予想外だった。

あと,頭の中でずーっと時間に追われていた。2年前の四国400kmやThe Peaks round4,去年の四国600kmの寝過ごし後ですら時間を削りにいこうと前向きな気持ちで走れていたのに,今回はずっと時間に追われて気が休まらなかった。今回で自分の上限を超える必要はないことがおぼろげに見えてきたので,次は気象条件次第でなんとかなるだろうと気が楽になった。遅れてはいけないと守勢に回ると途端に弱くなる豆腐メンタルが露呈してしまった。Flecheも24時間の攻防という点では攻勢というよりは守勢なので,苦手なタイプといえる。